フィンランド、50歳のお祝い

自分の誕生日を祝うことは、おそらく世界中どこでもしていることですが、フィンランドでは50歳を迎えるのは特別なことです。この静寂の国と、お酒を飲むのが好きな人種は様々なことでお祝いをして、50歳のお祝いを50年間待ち続けます。まず最初に、50歳になると職場から有休をもらいます。私はこの贅沢な日に「何をしようかしら」と、ずっと心待ちにしていました。私が50歳となる2022年7月2日は土曜日でした!私にとってこれ以上なく自由で、何の心配もいらない日でした。

50歳の誕生日に人生で一番盛大な誕生日会を開くことは、フィンランドでは長い歴史があります。私が子供の頃は、50歳になった人皆がものすごく年を取っているように見え、一般的なプレゼントはロッキングチェアでした。今では、50歳となる人は旅行を好みプレゼントはほしくない人もいます。公職に就いている人は、地元のニュース広告欄に「私は50歳のお祝いをしません」と掲載することもあります。

昔の50歳の誕生日パーティーは、日中にコーヒーとケーキでお祝いし、数々のスピーチ、友人、同僚などからプレゼントやお花を受け取り、夕方になると一緒に踊って飲むというものでした。現在もスタイルは似ていますが、ものすごく多くの人を呼ぶことはなく、より贅沢な場所で、プレゼントはモノではなく、お金だったりします。昔のように椅子や金の時計をプレゼントにするということはありません。

50歳の誕生日の1年前、私は自分の誕生日をちょっとスペシャルなパーティーで、スペシャルな日にしようと決めました。家族や親戚などの身内や友人たち、そして私自身がリミンカ町(オウルから約30㎞南下)の地方議員なので、その仲間たちとともに誕生日を祝いたいと思いました。

私はクーサモ(オウルから約200㎞東北にある町)に住む起業家Jokke Kämäräinen(ヨッケ・カマライネン)さんと7年ほどお付き合いしています。彼はフィンランド・ラップランドでアクティビティを提供する会社を経営していて、自然アクテビティとして、ツーリスト向けにとても素晴らしいサウナ施設(ログハウスのサウナと食事スペースが併設された自然の中にある森のスパ)を持っています。私はサウナがとっても大好きなので、家族・親戚と一緒に自然体験をし、友達と一緒にサウナに行き(サウナは女性だけ。私自身がそうしたかったので)、政治仲間とはリミンカの歴史ある邸宅でコーヒーとケーキを振舞うことに決めました。自然体験と森のサウナ企画は誕生日の7/2がある週末に、邸宅でのお祝いは別な日曜日に開催しました。

大家族とのラフティング
娘たちからの歌のプレゼント
湖でスイミング

私には成人した5人の子どもがいて、私自身には3人の姉妹と3人の兄弟、そこに子どもたちのパートナー、兄弟姉妹の家族、父・母が加わり大家族となります。ラフティングをする川に向かうバスの中はとても賑やかでした。森の中で昼食をとり、テントサウナに入ったり泳いだりと家族時間を過ごしました。素敵な時間で、幸せな顔を沢山見ることができました。自然体験の後は、友人達も加わってバスで森のサウナへ。ここにはスチームサウナだけでなくスモークサウナもあり、湖で泳ぎ、簡単な夕飯も取りました。食事中は友人達からのお祝いスピーチや、娘たちは歌のプレゼントをしてくれました。

父からのスピーチ後、父とハグ

スピーチはフィンランドのパーティーでは欠かせないパートです。50歳の誕生日当日に、本当に多くのお祝いの言葉ももらいました。最初のスピーチは私の父からで、家族からは自転車を買うためのギフトカードをもらいました。10年以上自分の自転車を持っていなかったので、とても嬉しいプレゼントでした。夕食中は、家族以外にも友人達から心温まる言葉を沢山もらい、後日に開催した邸宅での誕生日会では、政治仲間からもお祝いのスピーチを受け取りました。受け取った言葉の全てが、愛があり、思いやりがあり、素敵で優しく、私の心の中に残っています。

私は今、時の船の折り返し側に来て幸せや穏やかさを感じています。同い年という仲間全ての健康や多幸を祈ると共に、私と同じ1972年生まれのヒーローたちへ「誕生日おめでとう!」。

※フィンランドは、大人になっても自身の誕生日パーティーは、誕生日を迎える当人がパーティーを企画して開催し、家族や友人たちを招きます。

50歳、誕生日当日の風景(森のサウナにて)

翻訳・補足:内田貴子(Business Oulu)

この記事のライター

Sanna Savolainen
Sanna Savolainenシニアアドバイザー(ビジネスオウル:オウル市雇用産業支援公社)
北フィンランド在住のフィンランド人。フィンランドの自然愛好家であり、5人の子供の母。現職のビジネスオウルでは、オウル地域発展を目標に企業への海外展開支援を行う。旅好きで、ノルディックスキーや森でのハイキング、一年を通して湖で泳ぐ趣味を持つ。お気に入りの場所であるラップランドにあるコテージや第二の故郷サヴォンリンナで余暇を過ごす。