フィンランドの女性の働き方・生き方
3月8日は国際女性デーということで、フィンランドでの女性の働き方についての記事を書く機会を頂きました。せっかくなので、この機会に、いつも新たなことに挑戦しつづけている、私の尊敬する友人、マイヤにインタビューすることにしました。マイヤは、わたしの娘の友達の母で、娘を通して知り合い、今では家族ぐるみで仲良くしています。マイヤは、パートナーのヴィッレ、ウンナ(7歳)、ヴェルネ(1歳)の4人家族です。どんな風に、仕事と家族と自分の時間のバランスをとっているのでしょうか? 自分らしく生きるための、ヒントが見つかればうれしいです。
Q.どのような仕事をしていますか?
マイヤ:Timmaという美容関係のSaaSスタートアップ企業で働いています。役職名は、Culture & Strategy Desing Lead. (文化及び戦略のデザインリーダー )。普段は、クリエイティブチームと一緒に働き、企業文化のデザインをしたり、 企業が掲げた目的を果たすために企業文化と戦略が足並みをそろえるように調整したりするのが仕事です。
Timma: https://timma.fi/
Q.具体的にはどんな仕事ですか?
最近、企業ミッションが新しくなりました。新ミッションは、Make people and businesses bloom (人々とビジネスを花咲かせる)です。私たちの会社は、働いている人が満足していたら、ビジネスもうまくまわっていくと信じています。魅力的な企業文化であることを人々に知ってもらえたら、将来的に新たな人材を魅了しますし、働いている人も満足して長年勤務することに繋がり、経営的にもよい結果が得られます。私は企業文化の改善に関わる仕事をしています。
Q.週4で働いていますが、その理由を教えてください。
自分にとって、仕事と生活のよいバランスをとるためです。仕事も大事ですが、最も大切なのは家族です。会社によって方針が異なりますが、フィンランドの法律では、2歳以下の子供がいる人は就労時間を少なく抑えることもできます。月曜から木曜まで働き、金曜にオフをとっています。給料はフルタイムの80%に減りますが、それでも自分の時間や家族との時間が増えることは価値のあることだと思っています。
Q.金曜日のオフはどのようにはどのように過ごしますか?
基本、金曜日は自分の時間、土日は家族との時間というふうにしていますが、いつも決まっているわけではありません。今は大学の授業も受講しているので、夜や週末に勉強しています。
Q.なぜ、勉強しているのですか?
私は永遠の学生です(笑。新しいことを学ぶのが大好きで、今取っている授業は、仕事にも関係しています。一般の人も受講できるオープンユニバーシティーという枠で、大学の「未来の研究」という授業をとっています。ありとあらゆる方向から、未来がどんな風になるか、数々のシナリオを考えていくのです。色々な分野で働く人たちがこの授業を取っているのですが、そのお陰で多角的な視点から考察することができて、とても有意義です。未来学は、理論はもちろんのこと、想像力も必要とするので、私にぴったりの分野だと思っています。
Q.キャリアと子育ては両立できますか?
フィンランドでは、人に助けを求めない精神が根強いので、なかなかつらいこともあります。パートナーと家事と育児を分け合っているので、なんとか仕事も勉強も育児もできています。一人で全部をこなすことは、到底できません。
Q.子育てと家事は半々ですか?
状況によって変わります。今は勉強もしているので、ヴィッレの方が多めに家事と育児を担ってくれています。相方の仕事が忙しい時には、私が代わりに多めに家事と育児をします。常に半々ではないですが、長い目で見たら半々くらいになるのだと思います。何事もパートナーと一緒に決めて、お互いを応援し合っています。勉強することに関しても、学ぶことはいいことだと、パートナーが賛成し、協力してくれています。
Q.仕事、家事、育児のバランスはどう取っていますか?
とっても難しいことではありますが、実践しながら調節するという感じです。一番大切なのは、生きていくのに最低限必要な睡眠時間と食事。運動はその次になってしまいまいます。大事なことのプライオリティを決めていきます。最近、ヴィッレが「ストレスがたまってるみたいだから、ちょっとヨガのクラスにでもいってきたら?」と提案してくれました。パートナーに言われてはじめて、自分の状態に気がつくこともありますね。昨日は、パートナーが疲れていたので、一人で長くサウナに入ってリフレッシュしていました。そんな風にちょっとしたことで、バランスをとっています。お互いに自分の時間を持つことで、ストレスを溜めすぎないようにしています。
Q.自分の時間は、どんなことをしますか?
友人とご飯に行ったり、映画に行ったり。勉強もある意味、自分の時間でもあります。また、仕事と全く関係のない、なにも役に立たないようなことも時には大事です。友達と会ったり、パートナーと出かけたりする時間を作るのが難しい時もあります。
Q.パートナーとデートにはどれくらいの頻度でいくのですか?
いつも実行するのは難しいですが、月に1回が目標です。二人で小旅行に行ったり、映画を観たり、おいしいご飯を食べたりします。1日のうち、数時間だけデートに行くだけでも気分転換になります。デートの時は、お互いの母親や、姉妹が子供たちの面倒を見てくれます。
Q.他に大切にしていることは?
きのこ狩りなど、自然の中に出かけていくのも大好きです。その他は、美術館やギャラリー巡り、バレエ鑑賞など、文化に触れることです。
Q.週末はどんな風に過ごしていますか?
家族と過ごすことが多いです。ヴィッレが料理好きなので、ご飯を作って、友人を家に招いて一緒に食事を楽しみます。
Q.家事はどんな風に分担していますか?
性別に関係なく、お互いに得意なことや好きなことを担当するようにしています。ヴィッレは料理好きなので、料理、皿洗い、食材の買い付けなど、キッチン関係を全て担当しています。私は衣類関係。子供の衣類を買ったり、リサイクルに出したり、洗濯をしたりします。その他の掃除は、だいたい半々でやっています。伝統的には、母が料理をして、金銭関係は父という家庭が多かったと思いますが、うちは逆です。
Q.北欧諸国は男女平等が進んでいるといいますが、どう思いますか?
最近、法律が変わって、男性も女性と同じ期間の育児休暇が取れるようになりましたが、実際には女性の方が多く取っています。個人差があると思いますし、生物学的な差もあると思いますが、希望すれば性別関係なく育児休暇が取れる仕組みがあるのはよいことだと思います。兵役も基本は男性の義務ですが、女性も希望すれば行くことができます。女性はこうあるべきだ、男性はこうあるべきだという社会からのプレッシャーはあまり感じません。それぞれの人が自分にあった選択ができるのが大切です。
Q.これからの夢はなんですか?
よい人生というのは、幸せな日常の積み重ねだと思います。今、あることに感謝し、日常をよく生きることが大切です。自分らしい日々を生きていくのが私の夢です。小さな夢はたくさんありますが、家族と一緒に過ごし、健康に恵まれた日々を暮らしていけたらいいなと思います。そして、好奇心や情熱を持ち続けたいです。
Q.好奇心や情熱は、マイヤのとても大切にしていることですね?
そうです。ずっとずっと好奇心を持ち続けたいと思っています。そのためには、心をオープンにして、違う意見にも耳を傾け、 自分の考え方が凝り固まらないよう柔軟であることです。
いつまでも、好奇心を持ち続け、学び続けるマイヤ。とても素敵な考え方の持ち主で、いつも刺激をもらいます。自分らしい日々を生きていくのが夢という言葉がとても心に響きました。私も日々の小さな幸せのかけらを大切に、感謝の気持ちを忘れずにいたいなと改めて思いました。性別に関係なく、すべての人が自分らしく生きられる世界にしていきたいですね。
この記事のライター
- フィンランド在住。2007年にフィンランドに移住し、アアルト大学でテキスタイルデザインを学ぶ。マリメッコ社でテクニカルデザイナーとして勤務した後、2014年より独立し、国内外の企業にデザインを提供する他、もみの木のテキスタイルなどオリジナルプロダクトをプロデュース。2022年に初のエッセイ本、フィンランドで絵本を出版。
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