フィンランドの家族と過ごすクリスマス

12月頃になると、「Hyvää joulun odotusta(ヒュヴァー ヨウルン オドトゥスタ)」という挨拶をよく耳にするようになります。「クリスマスが来るのを楽しみに!」というような意味合いがあるのですが、当日はもちろんのこと、それまでの準備のあれこれもなかなか楽しいものです。6年前に娘が生まれてから、クリスマスの楽しみ方も変わってきました。今回はクリスマスにまつわる、私の好きな習慣をいくつか紹介したいと思います。

ジンジャークッキー

この季節に必ず娘と作るのがジンジャークッキー。我が家には、トナカイ、クリスマスツリー、星などなど、ビンテージショップで購入したクッキー型がたくさんあるのですが、この季節になるまで、引き出しの中でじっと出番を待っています。冷凍のクッキー生地を常温にもどし、広く四角くのばして、好きな型でくり抜きます。オーブンで焼いた後に少し冷ましてから、色とりどりのアイシングで模様を描いたり、トッピングをつけたりして、オリジナルクッキーができあがります。家の中はクリスマスの香りでいっぱいに。今年はジンジャークッキーで家作りにチャレンジしようと思っています!

もみの木の飾り付け

数年前から、我が家ではテキスタイルのもみの木に飾りをつけるようになりました。八王子の手捺染工場で丁寧に染めてもらっている布で、この季節になるとクリスマスツリーに変身します。フィンランドでは、本物のもみの木を買って、飾りつける風習があるのですが、意外と楽しめる時期は短く、1月6日にはもみの木を捨てる日となっていて、ゴミ収集場に置けば取りに来てくれるサービスがあります。テキスタイルならば、長年使え、収納もコンパクト、しかもアレルギーフリーという利点があります。(フィンランドでは、もみの木アレルギーという方がいらっしゃるのです)我が家では、フィンランドの赤土で作ったオーナメントや、ドイツのクリスマスマーケットで買ってきた古い木製のオーナメントなどを飾っています。普段はシンプルなもみの木のテキスタイルもこの季節は晴れ姿をまとっているよう。クリスマスの装飾は、見ているだけでわくわくしますね。

サンタが家にやってくる

フィンランドに移住して驚いたのは、クリスマスの日にサンタが本当に家にやって来るという習慣です。去年のクリスマスはラップランドのコテージを借りて、夫の幼馴染と過ごしたのですが、小屋に到着するとなんとサンタクロースがソファで居眠りしていたのです。はっと目覚めたサンタは、「おおっといけない。これから世界中の子供にプレゼントを配るのに、居眠りしてしまった!」と慌てて家を出ていきました。予想外の展開に娘も目もまんまるに。大慌てのサンタに、歓迎の歌をみなで歌い、サンタを見送りました。サンタが去った後はクリスマスの準備。サウナに入って身を清めた後に、みんなでテーブルを囲んでクリスマスのご馳走をいただき、お腹がいっぱいになったところで、サンタの置いていってくれたプレゼントを順番に開けていきました。

やはり、クリスマスの醍醐味は、家族や友人と過ごすひととき。テーブルにあふれんばかりのご馳走を数日間食べ続けるのは、なんだか日本のお正月にも似ているように思います。クリスマス休暇はひたすら食べて、たくさん寝て、時には散歩にでかけるというのの繰り返し。そうこうしているうちに、一年が幕を閉じていくのです。

Hyvää joulun odotusta!

この記事のライター

島塚 絵里
島塚 絵里テキスタイルデザイナー・ライター
フィンランド在住。2007年にフィンランドに移住し、アアルト大学でテキスタイルデザインを学ぶ。マリメッコ社でテクニカルデザイナーとして勤務した後、2014年より独立し、国内外の企業にデザインを提供する他、もみの木のテキスタイルなどオリジナルプロダクトをプロデュース。2022年に初のエッセイ本、フィンランドで絵本を出版。