イースター フィンランドの祝祭の食べ物は?
イースター(復活祭)はキリスト教において重要な祝祭です。フィンランドのイースターは宗教的なものと長い間心待ちにしていた春の訪れをお祝いする慣習が融合した祝日のようです。
イースターの日というのは太陰暦にもとづいていたので、太陽暦が使用されている今では毎年日にちが異なり、今年のイースターは4月9日です。
伝統行事や重要な祝祭にはたいていそれにまつわる食べ物がありますが、イースターも例外ではありません。
イースターが近づいてくると、どこのスーパーに行っても見かけるものの一つがMignonです。Mignonは、日本にもファンがたくさんいるFazer社のチョコレートでできたイースターエッグで、1986年から多くの人々に愛されているイースターのお菓子です。本物の卵の殻一杯に詰まったチョコレートは、殻が割れないように特別なパッケージに入っています。卵一個分のチョコレートはちょっと多すぎるかなと思いつつも見かけると毎シーズン1つは買いたくなるものです。Mignonは何度見てもよくできているなぁと思わずにはいられません。卵の殻に一つずつカカオミックス液を入れるのも特製のパッケージに出来上がったチョコレートエッグを入れるのも手作業だということです。ちなみにMignon(ミニョン)はフランス語でキュート(かわいい)という意味で、この製造工程を聞くとさらにかわいらしさが増してきます。
イースターが近づいてくると、Mignonのほかにも、本物の卵の殻には入っていないものの、様々な大きさやデザインの卵形のチョコレートを見かけるようになります。私が気に入っているおいしいチョコレートのお店でも毎年美しいデザインのおいしいイースターエッグチョコレートが販売されます。また年々クリエイティブなイースターチョコレートがさらにその種類を増して店頭に並ぶようになっている印象を受けます。
チョコレート同様同じく黒茶色のイースターのスイーツがもう一つあります。何百年も昔からある伝統的なイースターの食べ物、マンミ(mämmi)です。私の目から見ると餡子に似ています。あまり食欲をそそらない見かけというので有名なものですが、日本人は餡子を知っているのでうまく受け入れられる気がします。この黒茶色のマンミにはたいていクリームやミルクをかけて、さらにお砂糖をトッピングして食べます。マンミはライ麦モルトとライ麦粉から作られるので栄養価の高いものです。様々なサイズのマンミがスーパーマーケットなどで購入できます。
Pasha(パスハ)は正教会の伝統から取り入れられたイースターのデザートで、カッテージチーズ、クリーム、お砂糖、卵、バターを使って作られています。レーズンやレモンジュース、バニラなどで風味がつけられることもあります。これらの材料は正教会において、イースター前の断食期間に食べてはいけないもので、パスハがイースターの伝統となったのは乳製品の保存目的もあるようです。
甘いものばかりをご紹介しましたが、最後に、イースターには子羊の肉を食べる慣習もあります。フィンランドではなんと子羊肉の年間消費量の約半分がイースターの期間に食べられるということです。イースターに子羊肉というのは、キリスト教で神の子羊という表現がイエス・キリストのことを指すものの一つであるということが一つの背景のようです。
食だけでなく様々な慣習のあるイースターですが、たいていこの頃春の気配が漂ってくるのと、祝日を含んだ長い週末だということで人々は長い冬の間心待ちにしていた季節の訪れを宗教的なものに興味がない人も旅行も含めてなんらかの形でお祝いしているようです。
この記事のライター
- 2008年にノキア・ジャパン社(東京)からノキア本社(ヘルシンキ)への異動によりフィンランドに移住。2013年からフリーランスとしてフィンランド政府観光局のSNSや様々なデジタルコンテンツの作成、翻訳、通訳、執筆などに従事。趣味は旅行、カフェやレストラン巡り。
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